たまたま見かけた書評が面白そうだったので読んでみました。
「校則がない」
「自由(すぎる)」
「文化祭が派手」
「御三家(すごく頭がいい)」etc.
いかにもな麻布イメージしかもっていなかった母toraですが、子toraの志望校選びに難航しておりまして、特色あるとがった学校の教育を知っておくと勉強になるかなと思ったのです。
なにせ東京の学校数の多さときたら。
中学受験は未経験、片田舎の公立校出身の母toraからしたら、どの学校もカリキュラムも設備も実績も輝かしすぎます。
東京というところはなんて恵まれた教育環境なんだとため息しか出てきませんし、過去に出会った中高一貫校出身の東京の子たちは中学受験を勝ちあがってこういう教育を受けてきていたのかと、今さら彼らのすごさに脱帽しきりです。
で、肝心の感想ですが。
読んだらますます悩みが深まりました(笑
本は大変面白くておすすめです!
教師・生徒・OB・塾講師や保護者へのインタビューと2年間におよぶ取材で、こんな部外時にも麻布の内情が理解できます。
もちろん、塾だって学校だって入ってみないと本当のところはわからないと思いますが、それでも、学校の内側をこんなにレポートしてくれるなんてそうそうないことだと思います。
各所で笑えるし、教育のために骨身を削る先生方にはウルッとくるしで、読んでよかったのは間違いないです。
麻布が自由なのは、生徒に「自分で考える」人になってほしいから。
意味もなく与えた自由じゃないし、生徒に自由を与えることは管理するよりもよほど大変。
受験のための授業をしないのは、社会に出てから役立つための授業でありたいから。
いっそ大学より大学らしく、教養がつきそうな授業をしている。
でも。
教室は絶望的に汚いし、とんでもなくうるさいし、家での勉強時間はゼロ、みたいな生活が待っているっぽい。
それでも生徒たちの自頭と集中力がすさまじいから、一年浪人して、東大はじめ希望の難関大学に受かってしまう子が多い。
東大合格実績ベスト10から外れたことがないけれど、浪人率は6割とも7割ともいわれてる。
大学合格のためのカリキュラムを組めば合格実績は伸びるし、中高一貫校ならどこもその方面はとても手厚いですよね。
麻布がほかの学校と徹底的に違うのはここかなと思いました。
受験のための勉強じゃなく、やがて社会に出ることを見越しての教育理念が徹底していると感じます。
「なるほど~~」と思う一方、(もし入れるとして)子どもを入れたいかというと、これは難しい。
私立の学費を払いつつ、子どもが勉強しなくなる(かもしれない)生活を受け入れることができるだろうか、と。
中学受験って、どうしてもその先の大学受験を視野に入れることになりますよね。
大学受験までうまくいってほしいのが親心。
でも「うまくいく」ってなんだろう。
少しでも偏差値の高い有名な学校に入ること?
受験のときにラクができること?
ああでも、親と学校の手厚い思惑の上で若い時間を過ごすことが、彼の人生にとってどれほどの意味があるだろうか……。
「管理」するって、子どもが道を踏み外さないように保護したい気持ちでありつつ、本当は親が安心したいだけなのかもしれない。
自分で考えて自分で失敗してつかみとるしかないものを、親が「与える」ことはできないし、傷つくことも悩むことも、他人が、親が決められることじゃない。
自分の中学・高校時代をふり返ってみても、とくにサボっていたわけじゃないけど勉強は二次的なものだったよな、とも。
教育ってなんだろう。
などということを、相当に考えさせられてしまいました。
本書は麻布の内情が「わかる(かいま見える?)」という点で貴重かつ、教育について考えさせられるという点でも一読の価値ありでした。大ありです。
わが家は中学受験して、どうしたいんだろう。どうなってほしいんだろう。
いつかの啓明館の保護者会で、「中学受験の意味とは、それを通して親の価値観を伝えることなんです」って先生が話してくれたことがありましたが、まさにそうなんですね。
うーん。まだまだ悩みから抜けられそうにありません。
未知との出会いということで、読後にE.T.と記念撮影。